「あ、携帯教室に忘れちゃった!」



透くんと二人で教室を出て、一階の下駄箱まで着いたときに私はいつも制服のポケットに入れてある携帯がないことに気づく。



「おっけー、んじゃ道ちゃうし先帰っとくな」


「ごめんね、バイバイ!」


「ほな、また明日!」



いつも通りの透くんと下駄箱で分かれると、私は教室へと急ぐ。


だいぶ日が暮れるのが早くなって、まだそんなに遅い時間でもないのに廊下は薄暗い。



「あれ?瑞希まだ残ってたのか?」


「あ、いずみん!」



たまたま廊下でばったりいずみんと出会う。



「っていうか、ダメだよ、学校で名前呼んじゃ…」


「俺、生徒は下の名前で呼ぶタイプだから大丈夫大丈夫!」



なんて能天気な…って思ったことは内緒にしておこう。



「今から帰るとこか?」


「教室に携帯忘れちゃって…それ取りに行ったら帰るよ」


「おー、じゃあ一緒に帰ろうぜ!」


「え、大丈夫なの?」


「大丈夫だろ、電車だし」



そういう問題…?って思ったけど、いずみんが良いって言ってるんだしいっか!



「わかった、じゃあすぐ取ってくる!」


「俺も用意してくるわ。校門集合で」



先生と下校なんて初めてだー!


たまたま乗った電車に先生がいることは何回もあるけど。


なんだか少しだけワクワクする。