「この教室出たら俺はもう瑞希ちゃんを好きな気持ちを忘れる」


「うん…」


「やから最後に握手しよ?」



はい、と差し出された手に戸惑ったけど、私も手を差し出して握手した。


その瞬間…



―グイッ



手を引かれ、私は導かれるまま透くんの胸へ抱かれる。



「ごめん。最低なんはほんまにこれで最後にするから……」



ギュッと抱き締められる感覚に、切ない声で心までもがギュッと締め付けられる思いになる。


透くんの気持ちはこんなにも温かいんだね。


こんなに好きになってもらえて嬉しい気持ちと、応えられない苦しい気持ちが交互にやって来る。



「瑞希ちゃん…ありがとう。ほんまにありがとう。」



耳元で囁くような声は、少し涙声だった…。