「瑞希ちゃんさぁ…龍にぃのこと、好きやろ?」
「えっ!ななな、なんで!?」
「好きな人の視線の先にいる人なんてすぐわかるっちゅーねん。」
そう呟きながら俯く透くんは、やっぱりどこか龍ちゃんに似てて。
でも私が好きなのは紛れもなく龍ちゃんで。
どうして、好きって言ってくれる人を好きになれないのかな…
「瑞希ちゃん」
私の名前を呼ぶその声は、いつもになく暗くて。
透き通るような目は真剣そのもの。
「……龍にぃはやめとき」
「えっ…?」
「龍にぃはもう誰も本気で好きにならへんよ」
好きだって気づいた私は浮かれてたんだ。
もしかしたら、龍ちゃんも私を好きになってくれるかもって。
もしかしたら、私だけ特別なのかもって。
「龍にぃの昔話してあげる」
私の想像してなかった龍ちゃんの過去を、透くんはたんたんと話始めた。