「もっかいちゃんと言わして」



そういうと、私の方にきちんと向き直した。



「俺さ、瑞希ちゃんの素直で優しくて一生懸命で可愛いところが好き。ほんまに好きやで。」


「透くん…」


「俺と付き合ってください。」



全てを見透かしたように悲しそうに優しく微笑んだまま。


それがなんだか苦しくて、私は泣きそうになった。


泣いちゃダメ…。私が泣くのはズルい。だから…泣いちゃダメ。



「気持ちはほんとに嬉しい。でも私、透くんとは付き合えない…ごめんなさい…」


「うん」


「文化祭のときに好きって言ってくれて嬉しかったけど戸惑ったの。だから逃げてた。透くんの気持ちから逃げてた。ごめんね。好きになってくれてありがとう」


「こちらこそちゃんと応えてくれてありがと。これからも友達でいてくれへん?」


「…も、もちろんっ!」


「よかった。はいっ!じゃあ今からはもう今まで通りっ!」



そう明るく振る舞った透くんの目はうっすら赤くなってたけど、私は気づかないフリをしなくちゃいけない。


きっと私なんかより透くんの方が苦しいに決まってるのに、無理に元気装わせてるのかな…。