教室に入ると私の机のところに桃花と蒼太が。



「どうかしたの?」



不思議に思ったのは千明も一緒らしく、教室に入るなり自分の席にいかず私の席に来てくれる千明。



「あっ、瑞季ちゃん…なんでもないの…!!」


「お、おぉ、吉谷!俺の席座ってろよ!」



二人は必死に私を席に近づかせないようにしてくる。


もうなんとなく予想は出来る。


二人を押し切って、私は自分の机を前にため息をついた。



「ご、ごめんね、瑞季ちゃん…。瑞季ちゃんが来るまでに消そうと思ってたんだけど…」


「ほんと、誰だよな、こんなことするやつ」



私の机には、死ね、クズ、尻軽女、とにかくたくさんの悪口が書いてあった。



「思い当たる節はあるの?」


「ないこともない…」



多分、というか確実に葉月だよね。



「瑞季に非は?」


「多分、ない…」


「なら堂々としてなさいね」


「そうそう、気にすることねーよ!」


「瑞季ちゃんの味方だからねっ!」


「みんな…ありがとう…」



去年はなかったこの温かさ。


一人じゃないって思えるだけで怖さなんて飛んでった。