「うわぁ…」



私はその朝、ダルい体を必死に起こして学校に行った。


いつも通りの龍ちゃん。いつも通りの電車。いつも通りの学校。


でも一つだけいつも通りじゃないことが。



「あら、おはよう、瑞季。どうかしたの?」


「あ…千明おはよ…」



私は自分の下駄箱の前で立ち止まっていた。


不思議に思った千明は、私の下駄箱を覗き込む。



「何よこれ、いじめ?」



私の下駄箱の中には大量のゴミが。


いろいろあって忘れてたけど、そういえば葉月に目つけられたんだった…。


去年いじめられてた地獄のような日々がフラッシュバックする。


千明たちも私から離れていっちゃうんだ。そう思うと震えが止まらなかった。


なかなか動けない私なんか千明は気にもせず、ガサッとゴミを掴んで近くにあったゴミ箱に捨てた。



「あ、あの、千明…」


「あら、瑞季の上履きこんなところにあるわよ」



ゴミ箱の中から出てきた私の上履き。千明はそれを持ってくると私の足元に置いた。



「千明…」


「ゴミ箱空っぽだったから綺麗よ」


「いや、そうじゃなくて…」


「早く行きましょう?予鈴なっちゃったわ」



何事もないかのように、私の手を引いて教室まで歩いていく。