「瑞季の頭の中が、俺でいっぱいになればいいのに」



そう言い残して、龍ちゃんはリビングから出ていった。


わ、私、龍ちゃんにキス…されちゃった…


今更ながら顔が暑くなる。


なんでキスしたの?


なんで私なの?


なんでなんでなんで?


ダメだぁ、ドキドキが止まらないよ…



私を呼ぶ耳に残る優しい声とか。


優しく引き寄せる後頭部に添えた手とか。


近寄ったときに香る龍ちゃんのいい匂いとか。


温かい唇の感触とか。



もう忘れられそうにないよ……。



結局その日は、思い出しては顔が暑くなって、忘れて寝ようとしても思い出しちゃって、そうしてる間に朝が来たのだった。