「……っ!!」


あたしは洗面所に一歩入ってから、その場から動けなくなった。
それは、湯気を纏わせた長瀬先生がバスタオル一枚で立っていたから。

腰にバスタオルを巻いてるからって、男の人の裸ははじめてで、どうしたらいいのかわからない。
俯いて濡れた髪の毛をタオルでガシガシ拭いていた先生は、手を止めてあたしを見た。

普段かけている眼鏡もなく、なんでも見透かされそうな目。


「あ…えと…その……」


目を泳がせて、あたふたするあたし。
タオルを首にかけ、あたしを見下ろす長瀬先生。


「ご、ごご、ごめんなさいっ」


そう言って慌てて洗面所を出ていこうとした。