そのとき、パコンッと頭に軽く物が触れた。


「こらっ!授業中はしゃべるな!」

「あ、ごめんなさい…」


あたしの席の前に立つのは、眉間にシワを寄せたいずみん。
手には丸めた教科書があって、それで頭を叩かれたんだろう。

あたしは素直にちゃんと前を向くように座り直 し、首をすくめた。

後ろで、はぁ~…とため息が聞こえたけど、聞こえないフリ。
今は授業に集中しなくちゃ。

それにしても蒼太変だよ。
そりゃあ、あのとき蒼太をおいて勝手に行っちゃったのは悪いと思うけど、前の蒼太ならそんなこと気にしなかったのに。

最近の蒼太はほんとにおかしい。
何かあったのかなぁ。

ボーッと前を眺めていたら、目があったいずみんに睨まれた。

やばっ!絶対後で何か言われる。

あたしは必死にノートを写すフリをしていた。

そんなこんなで学校は終わり、あたしは家に帰った。