「それにしても可愛いお嬢ちゃんだ。逃がしちゃだめだぞー」
「いやっだからそんなんじゃ…!」
ビリッ…
「「あ」」
「あちゃーそんなに恥ずかしがらなくてもー。でもおしまいね」
蒼太が掬ったのは……0匹。
結局お互い一匹も掬えずに終わった。
はい、とタオルを貸してくれるおじちゃん。
手を拭く蒼太との間にはなぜか少し気まずい雰囲気。
そんなことも全く気づかないおじちゃんの声がお祭りのざわめきに溶けた。
「の、喉渇かね…?」
「そそ、そうだね」
「俺買ってくるわ!ここで待ってて」
お祭りの少し離れたベンチにつくと、蒼太は自販機のところへ小走りした。
あたしはゆっくり腰をベンチに下ろした。
