トクン―…トクン―…

鼓動が密かに伝わってきて、あたしの肩の力も抜ける。


…一番わからないのは、この状態を拒絶しないあたしだ。

安心して身を委ねてるあたしが一番わからない。


あぁ、いずみんに男と二人っきりは危ないって言われたのにね。


「拓海のところ…行かないで」

「なん…で…?」


囁くように掠れた龍ちゃんの低い声が耳元で聞こえて緊張する。


「………寂しいから」

「龍ちゃん…」


そんなこと言うと…勘違いしちゃうよ…

龍ちゃんには、この前寝言で言ってた彼女がいるんじゃないの?
うまくいってないとか?

それとも龍ちゃんにとっては…なんの意味もない言葉なのかな。
それでもあたしは、こんなにドキドキしちゃうんだから。
龍ちゃんのバカ。