「夏休みだし、なにもかも忘れてパーッと遊ぼうねっ!瑞希ちゃんっ!」

「う、うんっ!」


旅行かぁ。
ほんとに久々の旅行だなぁ…

旅行の帰りの車で亡くなったお父さん、お母さん。
それ以来忙しくて行くこともなくなっちゃって。
ちょっと怖かったっていうのもあるけど。


「ってか、瑞希はなんでここにいたんだ?龍ちゃんに用事か?」

「あ、えっとその…鍵をなくしてしまいまして…借りにこようと…」

「なくした!?」

「はい…」


バカヤロー!といずみんに軽くつつかれ、すみません…と謝る。


「家にあるかもね。見つかったら教えて?僕たちも落とし物で届いてないか確認しておくよ」

「たっくん、ごめんね…ありがとう」


いえいえ、とたっくんが微笑んだときに、チャリンッと目の前に鍵がぶら下がる。

龍ちゃんは綺麗な親指と人差し指で鍵のついたキーホルダーを摘まんで、あたしの前に近づけた。


「次は無くさないように気を付けて」

「うん、ありがと!」

「ん」


龍ちゃんから鍵を受け取って、あたしは椅子からたった。
たっくん達にばいばいをしてあたしは学校を出る。