「花ーっあぶねぇぞぉ!」
彼は叫ぶしかなかった。
そんな幼なじみの
ただならぬ声に
講義を中断し花は表に出る。
「志んのすけ、その鍬
投げて寄越せ」
奥方となった花は
相変わらずの余裕の態度。
志んのすけの鍬を
片手で受けると
彼女は鍬を霊に向かって構え
呪文を唱えた。
すると幽霊たちは
その場でみるみるうちに
姿を消したという。
「志んのすけの家は
以来呪文を封じるその鍬を
代々受け継ぐこととなった。
という言い伝えだ。」
「ふぅん…。」
いかにもありそうな言い伝えだが
うちの町に限って
こんなことがあるとは
思ってもみなかった。
そう正直に言ったら。
「そりゃ、今となっては
マル秘だからな」
とハスタツは軽く言った。
「マル秘?」



