今さらそんなことに気づいて
バカバカしさに笑えてくる。


でも恋だけが
生きがいじゃない。
わたしには音楽がある。

がむしゃらに、
勉強とヴァイオリンに
逃げることで
忘れようとしていた。


「尾久山ー、ちょっと
  職員室来てくれるー?」

ある日の昼休み。
のんびり自由帳に
お絵かきをしていたら
担任の矢板先生に呼ばれた。

「はーい。」

「尾久山なんか
  悪いことしたんか?」

「呼び出しじゃね?」

優等生キャラのわたしが
職員室に呼ばれるとなって
ニヤニヤとからかいだす
アホなオトコたち若干名。

「なんもしてないわよ」

それを笑ってかわすだけの
余裕はあった。辛うじて。

だって実際
なんもしてないし。

廊下を少し走って
先生に追いつく。