「あ…あんたのことが、好きっ」
状況を説明しよう。
今わたしの目の前には
上野雅志がいる。
わたしたちは
自転車置き場の裏の
人目につかない所にいて
聞いておわかりのように
世紀の一大決心をして
わたくし尾久山実花は
上野雅志に告白をしている。
わたしたちは
小学校から一緒で、
ずっと仲が良かったが
中学生になった今も
付かず離れず仲はいい。
からかわれて、叩いて。
それがコミュニケーション。
でもわたしは
小学5年生の秋からずっと
こいつに恋をしている。
思わせぶりな上野の態度に
いらいらしつつも
好きでいるのをやめられない。
今まで何度か
告白らしきことを
したことがあったけれど
それは勢いで言っちゃったし
計画性を持った
戦略的な告白には程遠い。