ノリで若菜に、
わたしと香菜ちゃん
どっちが好きなのか
さりげなく訊いてきて
と頼んだことがあった。

「なんか、
  実花ちゃんもいいんだけど
  頭いいから、ちょっと
  見下されてる感じがする
  とか言ってた。」

こいつ、正直だな。
こんなことならそんな約束
ばっくれてくれて
よかったのに。

わたしはただなす術なく
唇を噛んでいた。


実行委員会の翌朝。

「実花ちゃん昨日
  委員会の部屋にこれ
  忘れてたから持ってきたよ!」

若菜の手にはわたしの手帳。

「あっ!うそ!置いてってた?
  うわ…ありがとう。
  本当に助かった!」

「危なかったんだよ
  みんなが帰ったあとで
  うちらふたりで
  片付けしてたら、
  香菜ちゃんがなにこれって
  手帳開きそうになったの。
  だから、あっ実花ちゃんのっ
  って叫んで回収したの!」