「修了式の日、
  もしかしてなんかあった?」

「え、噂になってる?!」

もしかして誰かに
見られていたのか。

匠はばらすわけない。
わたしの協力者だし。

慌てるわたしを前に
若菜はもっとにやける。

「もしかして
  告白、とかした?」

「おぬし!なぜそれを!」

「実はね、修了式の日
  帰る時に下駄箱出たら
部活中の雅志に会ったの。
  雅志走ってたんだけど
すっごいニヤニヤしてたから
  ひとりでなに笑ってんの
  ってうち聞いたの。」

若菜は
興奮した調子で続けた。

「なんて答えたと思う?」

「なんて言ってたの?」

わたしではなく
愛美が先に問う。

「『さっき尾久山に
  告白されてさ』とかね
    『ま、両想いって
  ことじゃん?』とか
  ぶつぶつ言ってたよ!!」