この世の全てが敵だとしても




「あははっ」


軽快な久実の笑い声が誰よりも大きく響く。


そしてうっすらと涙の膜を張っている瞳を人差し指でサッと拭った。


大声で蔑む笑いを聞いていた、あのプライドの高い中西の、こめかみがピクリと動く。


一挙一動が周りの空気を変える。