この世の全てが敵だとしても




「かみ、足りませーん。」


久実はシンと静まり返っているのを気にも止めず、


真面目な声色でそう言った。





シンと静かな教室には、それだけが響いた。


「そ、そうか。」


そう言っていそいそと紙を持ち直し、


「何枚だ?」


と、少し硬い声で、けれども嬉しそうな面持ちで話しかける中西。


教室は少しだけ妙な雰囲気を纏っていた。