この世の全てが敵だとしても





ざわざわと生徒がざわめく中、中西は諦めたようにプリントを配布しだす。


最前列に横や後ろを向きながらでも座っている生徒たちは、そのプリントを受け取り、後ろへと回す。


教師の話は聞かないものの、プリントを回したりはするようだ。


そんな時。


普段は教師に話しかける人なんて皆無に等しいのに、
「せんせぇー。」


間延びした大きな声が、騒がしい雑談の声を割って教室内に響いた。