入るのを躊躇いつつ、
ここまで来たんだから、と
中に入る。



中に居た人は私を見てすぐ
露天風呂へ移動して行った。



聞き覚えのある声だと思いながらも
早く出てしまおうとちゃちゃっと
体を洗って、熱いお湯に浸かる。



2日連続で泳いだおかげで、
日焼け止めを塗ったにも関わらず
綺麗に焼けていて、溜息が零れた。



今ここに居るのは私を合わせて
3人ほど・・・だと思う。
露天風呂の方から聞こえてくる
話し声は聞こうとしなくても
耳に入ってきた。



「 あの人って、カッコいい人と
  一緒に居た人だよね 」


「 あ~!そういえば、居たね 」



・・・・カッコいい人、って・・・。



「 ねぇ、ちょっと聞いてみようよ 」



”あの人のこと”と楽しそうに
弾む声が聞こえて、
なんでか、胸が痛んだ。



戸惑いを覚えて、慌ててお風呂を出る。



着替えながら、自分が泣きそうに
なっているのに気付いて、
タオルで顔を押さえた。