優ちゃんはわたしを引き寄せた。 離れようとしても無理だった。 「…ごめんなさい」 聞こえなかったかもしれない。 わたしは何度も言った。 優ちゃんがわたしを悪くないって言ったって現実はわたしを許さない。 皮肉なもの。 優ちゃん、わたしもね? 優ちゃんが好きだよ。 それはピアノを弾けるからじゃない。 じゃないよ。 だけど、わたしは好きなんて言えなかった。 優ちゃんはわたしを見るたび思い出すだろうから。 ピアニストを夢見てたあの頃を。