マッキーと別れてから、私はよく笑うようになった。

 もちろん、本当の笑顔じゃない。ただの作り笑いだ。

 私が笑っていないと、皆が心配するから…――。

 私とマッキーが別れたって噂はすぐに広まった。

 クラスの皆は、大袈裟なくらいに私を慰めてくれた。

「大丈夫?」「元気出しなよ」「別れちゃったんだね」

 皆の言葉を聞くたびに

「マッキーのこと何もわかってないくせに。知った風なこと言わないでよ」

 そう思ってしまう自分が嫌。

 だけど、私の作り笑いに、琴美と龍二が騙されるわけなく。

「今のアンタ、痛々しいよ」「オマエ、バカじゃねぇの」

 痛々しいのも、バカなのも、全部わかってる。

 でも、素では笑えなくて。

 素直に笑えなくて。

 私は、笑い方を忘れてしまった。