「……斉藤さん……」
気づけば、ぽたぽたと涙が落ちていました。
「……こわ、かったんです」
「おい、大丈夫かよ」
「晴人くん、黙ってて」
先輩はかがんで、座っていたボクの両手を優しくにぎってくれました。
「お友達もいないし、ママにも誰にも、言えなくて────」
うん、と里美先輩は小さくうなずきます。
ぐずぐず鼻をすするボクの背中を、ヤンキーがさすってくれました。
「どうして、どうして、
好きでもないのに、触ったりするんでしょうか。
つい、なんておかしいです。
こんなボクに、出来心なんか起こるはず、ないのに」
「斉藤さん……」
「嫌われているんでしょうか。
嫌がらせでしょうか。
だって、そうじゃなきゃつじつまが合いません──」



