はじめてを、おしえて。



ドン。


小さな衝撃で、ボクの体は跳ね返されました。


ボクは、人にぶつかってしまったのです。



「……んだよ」


「ご、ごめんなさい」



それは知らない男子生徒でした。


彼はボクをにらみ、怒鳴ります。



「キモいんだよオタク!」



ボクの姿や持ち物から正しい判断をした、その男子は。


突然、ボクを突飛ばしました。



「いた……っ」



ボクは壁にぶつかります。


ちゃんと謝ったのに、いったいどうしろというのだろう。


恐怖で何も言えないでいると、小さな影がボクに駆け寄ってきました。



「ちょっと!ひどいじゃない!」



そう鈴の鳴るような声で言ったのは、この前屋上で見た、平凡先輩でした。