はじめてを、おしえて。



寝不足でぼんやりする頭を抱え、ボクは廊下を歩きます。


窓から差し込んだ夕日が目に染みる。


いいお天気の日が、オタクは嫌いです。


うすぐもりくらいが、漫画を読むにはちょうど良いのです。


ああ、忌々しい。曇ってしまうがいい。


ボクは空に八つ当たりをするがごとく、窓の外をにらみました。


そして何の考えもなしに、地上へ視線をずらすと……



「あ」



そこには、藤原くんがいました。


校舎裏の自転車置き場をぬけ、一本道路を渡った先に、武道場がある。


きっと、部活へ向かう途中なのでしょう。


おかしなものだな。


少ししか話をしたことがないのに、後頭部のうずと肩幅でキミに気づいてしまうなんて。