夏休みを目前にした教室は、制汗剤のにおいが充満しています。


ボクはそれが苦手です。


教室に居場所ができたとしても、個人の嗜好は変えられぬ。



「藤原、汗臭いー」


「はあ?柔道部に対する偏見だろ、それ。

防具がある分、剣道部のほうがヤバイぞ」



そんなどうでも良い会話を片耳で聞きながら、ボクはトイレに向かいました。


すると、すぐ背後で声がかけられました。



「斉藤さん」



振り返ると、そこにはこの前の般若3人組がいました。



「……はい」



返事をすると、3人はお互いの肘をつつきあいました。


なんだかもじもじしているように見えます。


ははあ、般若と見せかけて、おぬしらツンデレだな?