はじめてを、おしえて。



ボクは柔道部が終わるのを、部室の裏で待とうとしました。


あのマネージャーさんに会うのが、恐ろしいからです。


あぁ、しかし。


藤原君に会えたとして、一番に何と言えば良いのでしょう。



『あの時の事は忘れて、お友達になってください』



で、良いのでしょうか……。


うん。


大丈夫。


藤原君は、優しいから……。


きっと、ボクの話を聞いてくれる……。



ブツブツ言いながら、部室の裏にさしかかった時。


思いがけず、たくさんの人影があるのを見つけました。


――いけない――。


とっさに戻ろうとした時には、もう手遅れでした。