はじめてを、おしえて。



「違うよ、整形じゃない。

ただのメイクです」


「め、メイク!?」



彼女たちは昨日までのボクと同じように、生えっぱなしの眉毛の下の瞳を丸くします。


鼻の下の産毛は、牛乳を飲んだら確実に真っ白のヒゲになる。


それでもボクたちはお手入れを怠ってきたのです。


他人の視線など、省みないで生きてきたのです。



「……もし良かったら、今度皆でやってみませんか?

講師は、ボクの母ですが……」



提案してみましたが、誰もうんとは言いません。


困ったように彼女達は苦笑し、目線を下に戻しました。



「…………」



もしかして、ボクの顔はメイク前よりおかしいのでしょうか。


だから彼女たちは遠慮するのかしらん。