恋人の余韻



「この議題は、持ち帰らせてもらうよ」

夏目くんがそう言っただけで、バタン、と別れ話の扉みたいなものが閉じた気がした。

私は思い出していた。
ゴールデンウィーク前に、二人で行く旅のプランを相談したとき、温泉に行くか、ディズニーリゾートへ行くか、決めかねてぐるぐると迷っている私に、夏目くんが一旦棚上げしようと言ったときのことを。

夏目くんは、別のセイロから焼売を取り、皿に練り辛子を載せて食事を続けた。
ああそういうもの、なんだ、と私は肩透しを受ける。
どちらかが別れ話を切り出せば、すぐに砕けてしまうのが『恋人』って関係なんだと思っていたのだ。