恋人の余韻





「ねぇ、希伊菜さ」

静かな口調に僅かな叱責が混じる。

はっとして目線を上げると、苦笑いする夏目くんがコップに水を注いでいた。

「慌てないでくれないかな。僕にとっては、まあ、寝耳に水とまでいかないまでも、今夜別れ話をされるなんて思わなかったんだよ。
だから、今すぐ僕に結論を出すことはできない」


私のグラスにも水を注ぎながら、分かってくれるよね、と夏目くんは言った。