夏目くんとの会話は堂々巡りをして、私は道に迷ったような心許さと、先を急ぎたいような焦りを覚えた。
私は、今夜決着をつけたかった。
「舘野さんへの思いは、片想いだけど、これは、この思いは……せ、性欲を伴う……強い欲望なのだし、だからね、つまり……、舘野さんの桜色の艶々の唇を見ると、自分でも怖いぐらい、キスしたくてどうしようもなくなるの。
あんなの単なるグロスの艶なんだよ、ディオールのマキシマイザーの為せるワザだって知ってるの、愛用してるのを女子トイレで見たし。
それでも、引き付けられてしまう。
それに、私、誰かとこんなにキスしたいと思うことなかった」


