「逃げてるわけではないです。いつか社長になるための準備をしているだけです」


「準備ねぇ」


「俺が社長になるのは今じゃない」

「今のあなたを社長にさせる気なんかありません。だからこっちの状況も見ておきなさいと言っているのよ」


社長の意見も息子さんの意見もわかる。


「あなたは俺に何をさせたいのですか?」


「社長業務を少しあなたにも回そうと思います」


「それは書類面での話ですよね」

「そうなるわね、接待はあなたの方が上手ですもの」


待って待って、


息子さん接待はもう行ってら下の!??


接待は実地だから書類通すのより難しいと思うのだけど


「というわけで、これからあなたに玲奈さんをつけます」


「俺はひとりでも」

「あなたはよくても秘書の方にとってはいきなり社長がかわるのはやりずらいのよ」



「…」


息子さんが私の方を見てきた。


「!!」


「仕事を玲奈さんに運んでもらうことにしますので」

「わかりました」



わ、あっさり引き受けちゃった



ていうか私仕事の引き継ぎすることに決まったみたい



「堀川新です。これからよろしくお願いします」



そう言って彼は丁寧に頭を下げられました。



「やめてください。挨拶をするのは私の方で…」


「松下玲奈と申します。社長秘書として補佐させていただくのでこれからよろしくお願いします」