サイド あげは




男女が部屋に二人きり


開け放たれた窓から

気持ち良い風がはいる





「改まっちゃって嫌だなぁ。話ってなぁに?」



笑顔を見せるのは得意

それが仕事だからね


でも新くんには効かない
まったく表情がかわらない


そこが良い


「あげは、今までのことだけど」


「決まったってわけ?」



少し冷静な声が出た

それは意識していたわけじゃなく

本当なあたしの声なんだ


「決まってないよ。…でも…終わったんだ」



すっきりした表情だ


自分の中で蹴りつけましたって感じの顔




「………で?あたしと新くんが夫婦になることはないの?」



「ない」



「あたしはただの遊びのキャバ嬢だったってこと?」


「そうじゃない。アゲハのことは普通に女として見てた。」



「じゃあどうして?納得いかない」



あたしはあなたの妻になる

社長夫人になりたい





「はっきり言った方がいいか?」


あたしに聞くところがまた好きだ


聞いて傷つくことを始めにわからせておく


「言って」