「柚子」


「…え」


「…荷物かせ」




目の前には直人が立っていた。




「直人?何で…」




私の手から袋を奪う直人。




「別に、暇だったから」



「暇…だったんだ」



「そう、暇」




直人は私にスッと傘を渡してきた。




「日傘…持ってきてくれたの?」



「…暑いからな」




プイッとどこかを向いてしまった直人の耳は、真っ赤で。



暑さのせいかな?



それとも…





「行くぞ」