「水原、一緒に帰るか」

「ああ」



今日も1日が終わる。

雪川さんの名前を知ってから2週間。

もちろん何も進展はない。



気づけば1月もあと少しで終わる。



廊下を歩きながら、西野が言ってきた。


「水原、エリカが今からどっか行こうって行ってるけど」

「行けばいいじゃん」

「ちげーよ、お前連れてかないと意味ないだろ」


なんとなく気が向かない。

でもずっと断り続けたし、そろそろ限界かな……。


「…わかった」

「そうこなくっちゃ!」


西野が新田に電話をかけている。



面倒だなと思いながら歩いていると、隣を誰かが追い越して行った。


……えっ!?

雪川さんだ!



久しぶりに見た雪川さんは、やっぱりかわいいと思った。

鼓動が早くなる気がする。

嬉しい………。



しかしーーー………。


「紗奈!待てよ!!」


後ろから声がする。


…え?誰??



振り向くと…茶髪の男が歩いてきた。



「早く帰ろ!寄り道してくんでしょ?」

振り返って男に話す雪川さん……

楽しそうに笑っている。



そのまま2人で歩いて行ってしまった。



あの男は誰だよ。

まさか、彼氏……?



「じゃあまたあとでなー。さて、水原……え、お前どうしたの?」


西野は電話が終わったみたいで、話しかけてきた。


「…なにが」

「だって珍しく怖い顔してるから……」

「…え」



自分では気づかなかった。

俺、怖い顔してたのか………!?




その時、やっと俺は分かった。



姿を見るだけで嬉しくなって、他の男といるだけで嫉妬する。

俺はおかしくなったのか?と思うほど。



でもこれが、恋なんだ、って。