突如、風が吹き、波がうねる。 小さな漁船が、揺れた。 雨は大降りになり、視界が悪くなる。 空では雷が咆哮を上げ。 まさしく、嵐。 「舵がきかねェ…っ!」 健太が呟く。 「んなわけあるかっ!」 岩崎さんが言ったときだった。 目の前が白く光った―――。