「どうしても、わからないんだ」 いよいよ壁に追いつめられ、背中がひんやりとした。 「だから、なにがわからないのよ」 「さっき言ったじゃない」 「冗談はほどほどにしないとだめよ?」 すると君はふぅと小さく息を吐き。 「じゃあ言うけど。どうしてあんなオジサンなの?あんなのがいいわけ?」 心臓が止まるかと思った。 その台詞は、私を切り裂くのに十分だった。 この子は、秘密を知っている。 私が高山先生の犬であることを。