キスから始まる魔法

 「可愛くなりたくない? 見返したくない?」
 

 「ま、まぁ……」
 

 「まぁ……それなりの代償はあるけどね」

 
 セナは私から離れると、不敵な笑みを浮かべた。

 
 「何よ……それ」
 

 「キス……だよ」
 

 「……はっ!?」


 彼はくすっと微笑むと校舎の方へと向かった。
 

 そして、一度振り返ると、にこっと笑って一言。


 「考えといて。じゃあね」


 あのバニラの香りを残したまま立ち去った彼が憎くてたまらなかった。

 
 ふざけるな~~~~!! 誰が……可愛くなんて、キス……なんて!!
 

 私は彼の背中を見つめながら憤慨した。