✰夕希side✰
「紘紀、離して。」
「いま、千里に何しようとした??」
その紘紀の真剣な眼差しに少しだけ瞳を逸らす。
「何しようとしたと思う??」
クスッと嘲笑うかのように挑発する。
「…………っつ……………。」
「あの日の事でも思い出しちゃった??」
あたしの言葉を聞いて、紘紀が手を離す。
「図星だったんだ。紘紀もまだまだ子供ね。」
ゆっくりとあの人の方を見た。
久し振りに見たあの人の姿はどこか懐かしく感じて、少しだけ心の奥底が軋んだ気がした。
「紘紀、あの日ってなんだ??」
少しだけ真剣な表情をしたあの人が紘紀に問いただす。
「っつ……………言えないっ………。」
下唇を少しだけ噛む紘紀の姿に頭が痛くなる。
「…………なんで言えねぇんだよ…………。」
「…………これだけは言えな「教えてあげようか。」」
紘紀の言葉に被せるように放った言葉はあの人の耳に届いた??
「教えてくれるのか??」
その瞳に見つめられて嬉しかったのはもう昔の話し。
なのに、何で少しだけ心が疼くの??
「教えてほしいなら、教えてあげる。」
「夕希っ!!千里には言うなっ」
紘紀の焦った声が3人の居る保健室に響く。

