「許されないよ。」
突然、聞こえた声。
その声の正体は……………。
「夕希っ!?」
寝ていたはずの夕希の声だった。
「2人とも煩い。寝れなかった。」
不機嫌気味に言って、身体を上半身だけ起こした。
「………………っつ…………。」
千里が息を小さく飲んだ気がした。
「………………あぁ。」
その行動の意味が読めたのか、夕希は第2ボタンまで外れていたワイシャツのボタンを1つだけつけた。
その時にチラッと見えた『キスマーク』が俺の頭の中に酷く焼きついた気がした。
「悪い、そんなにうるさかったか??」
どうにか頭の中に焼き付いたソレ振り切って夕希と話す。
「紘紀、早く出てって。」
冷めた表情と凛とした声に突き放される。
「怒るなよ、顔が怖いぞ。」
優しくその頬に触れる。
千里の表情は声には出てないが驚いている様子が分かる。
「いつも言ってるじゃん、触らないで。」
バシッと乾いた音と共に手が振り払われる。
「俺もいつも言ってるじゃん。嫌だ。」
強くはっきりと夕希の目を見て話す。
「……………今日は、佐渡先輩と遊んだ。この後も繁華街に行くつもり。」
吐き捨てるように呟いた一言。
俺と夕希の間に作った『約束』だ。
『必ず、俺に会ったら今日の出来事を話す。』
まぁ、最近の夕希の行動はほぼ毎日変わらなくなってきた。
『実紗と龍雅と遊ぶ』 『男と寝る』
それぐらいだ。

