「どこって職員室だよ??」
「俺も行く。」
「良いよ、あたしの用事なんだから。」
「良いから。」
そう言って、強引にあたしの腕を引いて歩きだした。
「ねぇ、本当に離してくれる??」
「なんでだよっ…………。」
振り返ったあの人の表情は辛そうで苦しそうで、まるで………。
「そんな表情で一緒に居られても困るから………だから離して??」
「俺、どんな表情してんの??」
「鏡とか見てみなよ。」
「夕希が教えて??」
「聞こえた??鏡とか見て自分で確認してきなよ。」
あたしは力いっぱいに腕を振り切った。
「夕希っ…………。」
「…………授業が始まるよ…………。」
あたしはそっと背中を向けて歩いた。
「夕希っ!!!!」
後ろからあたしの名前を呼ぶ。
「話しを聞いてくれよっ!!!!」
「話すことなんてないよ。」
「えっ…………。」
あたしの冷たい声が聞こえる。
なんか、他人事みたいに感じるなぁ。
「あたし、話すこと無い。」
「俺はあるっ!!!!」
あの人の声がどこか震えているようにも感じる。
「そう、でもあたしは無いから。」
「聞いてくれよっ!!!!」
「なんで??」
「なんでってそれは俺は「もう行くから。」」
あたしはあの人の言葉を遮って一言だけ伝えると走った。
「夕希っ!!!!」
後ろから…………何度も声がした。

