「夕希、本当に…………。」 後ろから実紗の声がした。 「実紗、あたしはもう良いんだよ??」 そっと笑う。 泣かなければ誰も心配はしない。 誰にも迷惑はかけない。 それに、あたしが泣いてしまえば実紗はあの人を多分………。 いや…………絶対に殴りに行ってしまうから。 「実紗、遅刻しちゃうよ??」 そう言って実紗の背中を押して部屋を出た。 実紗の瞳があたしの机の上を見た。 そこには、あたしが昨日の夜に取った千里からストラップが、 1人だけ淋しく置いてあった。