リビングには、ラップをかけておいたオムライスのお皿と…………。
1つの手紙を置いておいた。
「意気地無しでゴメンね??」
そっと月を眺めながら誰に問いかけることもなく呟いた。
「もうっ……………終わったんだから帰らなくちゃ………。」
そっと鉛のように重い身体を起こして歩いた。
後ろを振り返らずにあたしはただひたすら下を向いて歩いた。
何もかも忘れてしまおう。
あたしには千里のことを『思い出』になんか出来ない。
今もこんなに涙が零れ落ちてしまうほど好きな人を思い続けるなんて出来ない。
なら…………いっそのこと忘れてしまえば良い。
逃げてるんだって言われても良い。
弱虫だって言われたって良い。
あたしには千里を『好き』で居るのは辛すぎる。
あんなに人を好きになったことはないから。

