「夕希ちゃん……………。」
「実紗の場所に……………行って??もう大丈夫だからっ………。」
あたしは必死に笑って龍雅くんに言った。
「っっ…………本当にっ大丈夫なの??」
あたしを実紗と同じようにいつも心配してくれた龍雅くん。
「ありがとう、優しいね。でももう大丈夫。」
そう言って、あたしは立ち上がりその背中を押した。
「千里と別れたら、実紗と一緒に慰めてね??」
そう言って、龍雅くんを屋上から出した。
ちょっと強引にしちゃったかな??
でもね??
少しだけこの場所で1人になりたかった。
ここでは確か、付き合って初めての頃に自慢話を実紗に何回もしていた場所。
そこに、いつもダルそうにしている千里と実紗を見て笑いかける龍雅くんが後から一緒に来て。
それから他愛んない話しをしていて。
でも、いつも話しているのはあたしと実紗だけで。
龍雅くんは実紗を見ながら愛しそうに頷いたり、笑ったりしていて。
千里は………いつもケータイを弄ったりしていて、電話が来るといつもそこから聞こえてくるのは女の子の声だけだった。
その度にあたしの中には黒い感情しか出てこなかった。
『どうして他の子にはそんなに優しいの??』
『なんでこの時だけでもあたしを見てくれないの??』
『あたしだけを今だけでもいいから見てよ……………。』
そんな欲望の塊がいつしか心の中に出来ていった。

