「夕希ちゃん…………。」




龍雅くんの顔が切なそうに歪んでいく。





「っゴメンね……………すぐにっ…………泣き止むからっ…………。」





そう言っても、涙は一向に止めることはなく溢れるばかりで…………。





「止まってよぉ…………っく……………ひっく…………。」





あたしはその場に泣き崩れてしまった………………。





今日も靴の上にたくさん置かれた千里と他の子の写真。





聞きたくないのに聞こえてきてしまう噂話。





他の子の名前を呼んで笑いかける……………千里の姿。





別れると決意しても、心のどこかでは別れたくない自分が居て。





でも、それ以上に苦しくて淋しくてこのやり場のない気持ちに涙が溢れて………。





千里の約束を守るためにあたしは誰の前でも泣かなかった。





もし、あたしが泣いていたことが千里に伝わったら別れるようになってしまうから。




でも…………それも今日で終わりになるはずなのに………。




なのに、あたしは千里の事を考えると『泣き止まないと』そんな考えになってしまう。




あたしの全てが今はまだ千里で埋まっていて…………この先も千里のことしか考えられないのに……………。





「夕希ちゃん、泣いて良いんだよ??」




琉雅くんがあたしをみて更にその顔を歪める。




心配掛けちゃいけない。




あたしは首を横に振って、涙を必死に止める。