「夕希!!!!今日は一緒にクレープ食べに行こう!!!!」
「龍雅くんは??」
「龍雅は後で合流するの!!!!」
幸せそうなその顔を見て、何度あたしは心が潰されそうになったのだろうか。
普通のカップルは一緒に帰ったりして、どこかに出掛けたりして手を繋いで。
ちゃんとその彼女を、彼氏だけを見て……………。
あたしにはそんなことは考えてはいけない。
あたしにはそんな夢のように甘いことは望んではいけない。
その度に胸が押し潰されるような感覚に陥った。
いつ、千里はあたしだけを見てくれる??
どうしたら千里のその優しくて綺麗な笑顔を独り占めできる??
問いかけてもその答えは出てこない。
ただグルグルと頭の中を回るだけで何も変わったりはしない。
「実紗、今日はあたしは止めておくよ。」
そう言うと、実紗はあたしの顔を覗きこんできた。
「いつもなら喜んでくるのにどうしたの??」
「今日はこの後に用事があるんだ。」
「もしかして……………あの男??」
「違うよ??それより、いつもどうして千里のこと名前で呼んであげないの??」
「あたしは夕希を苦しめてる奴の名前なんて呼びたくない。」
その表情はどこか怒りを含んでいる。

