………………あたしは千里を好きになったんだ。
なら、千里の彼女で居れるだけで充分じゃないか。
何もいらないと思えば良い。
都合のいい女だと思われても良い。
なんだって良い。
千里の『彼女』であればちゃんと見てくれるのだから。
だったら、あたしが千里の何かに口を挟む必要はない。
あたしは千里と同じように微笑んだ。
千里は目を見開いていた。
あたしはそんな表情の千里を見ると中庭に戻った。
置きっぱなしのお弁当を取りに行かなくちゃ。
でも……………そんなことよりあたしは……………。
「っく………うぅ…………っっ………ふっ…………。」
この流れ落ちていく涙を止めるすべを知りたい。
こんなところを千里に見られたらあたしは『彼女』ではなくなってしまう。
そんなの嫌だ、千里の側に居れるなら何でも耐えるから…………。
「っふ…………うっ………っつ………。」
口元を手で塞いで声が漏れないようにする。
「千里っ……………千里っ…………好きだよっ………。」
愛しいひとの名前を呼んでも、想いを言葉に出しても…………。
それはこの澄み渡る綺麗な空に儚く消えていってしまった。

