翔太がポケットから出した手を開いた。

手の平に乗っていたのは、銀紙で作った歪な形のリング。


「手、貸して」


言われるがままに手を出すと、翔太は私の薬指にリングをはめた。

少し緩くて落ちそうなリングだったけど、しっかりと私の薬指におさまっていたんだ。


「まだ本物じゃないけど、大人になったらちゃんとしたの買うから……」


翔太を見ると、泥だらけの手で恥ずかしそうに鼻を掻いていた。

嬉しくて視界がぼやけていく。


「だから二十歳になったら、ここで結婚しよう」


結婚という事がどんなに重い事かなんて知らなかったけど、翔太が本当に本当に好きだったからすごく嬉しかったんだ。


「うん」


気がついたら私は翔太に抱きついていた。
不思議と恥ずかしいとか思わなかった。