「ん?十年ぶりなのに、なんで俺達ケンカしてるんだ?」


よく見ると、幼い頃の面影が有る顔は真っ赤になっていた。

そんな翔太を見ていたら、すごく嬉しくてでもまだ実感が湧かなかった。



「翔太、本当は待ってた…ずっとずっと」



「美咲、俺も…」



翔太は握りしめていた箱を、私にグイッと押し付けた。

私は白いリボンを解くと、蓋を開けた。

中には、小さいけれどダイヤモンドが一つ付いた指輪が入っていたんだ。

翔太は私の指からリングを抜き取ると、私が持っていた指輪をゆっくりと薬指にはめてきた。





「美咲、結婚しよう」





翔太が付けてくれた指輪は、なぜかぴったりと私の指にはまっていた。

涙が溢れ出してくる。




「うん」




翔太に抱きつくと、何度も何度も頷いていた私。

大人になった翔太は、無言で優しく背中を撫でてくれた。